Where Iron Obeys
Owner / Chief Artisan
鉄(Ferro)の声を聞く者。
工業的な精度の追求と、フェティシズムへの深い造詣を融合させる。
全ての作品は、彼一人の手によって削り出され、仕上げられる。
その指先は、冷たい金属に命を吹き込むための熱を知っている。
工房の扉を開けると、そこには油の匂いと、金属が削れる甲高い音が充満している。
主役は、高剛性を誇る精密旋盤(Lathe)。
この圧倒的な質量と回転力が、硬質な金属塊を、バターのように滑らかに削り出していく。
顧客から送られた数値(骨格データ)を元に、CADで図面を引く。 0.5mmのクリアランスを計算し、金属の収縮率を考慮した設計を行う。
真鍮、あるいはステンレスの無垢材を旋盤にセットし、高速回転させる。 超硬チップが金属を削ぎ落とし、継ぎ目のない完全な円環を形成する。
ヤスリとサンドペーパー、そしてバフ掛け。 指先で何度も撫で回し、皮膚のような滑らかさになるまで磨き上げる。
PVDコーティングにより「赤」や「金」の意味を与える。 美観だけでなく、金属アレルギーへの対策も兼ねる。
ロック機構とヒンジを組み込む。 最終確認を経て、ただの金属は「支配の道具」となる。